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以下ハルヒ小説。
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3ページあります。
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「今日の試験はいかがでしたか」
ぱちりぱちりと黒いオセロを引っ繰り返しながら古泉が言った。
それは、向かいあってオセロをしている俺に向けた言葉で間違いない訳だが、極めて嫌な話なので、俺は次の手に迷うフリをして無視を決め込もうとした。すると、こいつは
「僕はギリギリ大丈夫そうです」
などといらない情報を被せてきやがった。ギリギリってのは俺の基準じゃ赤点ラインギリってことになるが、果たしてお前はその辺りの話をしてくれてんのか?
ギリギリ9割保った、なんて、レベルの違う話をするつもりならこのまま頭突きをお見舞いしてやるがいいか。そういう話はハルヒとでも繰り広げてくれ。でも取り敢えずこのオセロは大差をつけて勝たせてもらうけどな。なんか腹立つ。
「……。次はあなたの番ですよ」
イケメンが崩れない程度に困った顔をした古泉は、俺がさっき実行しそこねたオセロに逃げ込むという短絡的手段に出た。
「谷口なんて朝からずっと嘆いてたってのに。テストも何もないいっそ誰も自分を知らない世界に逃げ込みたいとまで言ってたぞ。お前には分からん話だろう」
谷口の話を持ってきたのは当然、俺のテストには触れてくれるなという意思表示である。アイツもこんなとこで情けない話をされているなんて思わないよな。許せ谷口。俺の為だ。
「誰も自分を知らない世界ですか。随分極端な話ですね。でも僕だって考えたこと位ありますよ」
聡い古泉はこちらの意図通り、谷口の話題に食い付いてくれた。
「ほー」
古泉といえどあんなバケモンと日夜戦ってりゃ逃げたくもなるだろう。
脳内で逃避すんのは自由だ。誰もお前を責めたりしない。
俺がテストから目を背けたいのと同じ位責められない話だ。
「あなたは行きたいと思いますか?自分を誰も知らない世界に」
俺は勘弁したいね。実際行ってみろよ。思いの外心細いもんだぞ。それに、俺は知っている。
滅多なことではそんな状況には陥らないってことを。何故なら、
「そんなこと、このあたしが許す訳ないでしょ!!平団員のくせに休暇とって自分探しの旅でもするつもり?一人だけ面白いことしようったってそうはいかないわ。あたしがついてくかんね!いいえ、あんたがついてきなさい!」
たった今部室に飛び込んできた涼宮ハルヒは、話の尻尾だけ聞いてこんなことを高らかに言い放った。高らかついでに朝比奈さんにお茶を注文してからそいつを一気に飲み干し、で、何の話?と今更な質問をした。
ほらな。
俺は誰も知らないところに行きたいなんて思わないが、そもそも俺の意志に関わらず、ハルヒは俺達を一人になんて絶対させない。きっとどんな場所にも場を弁えず突っ込んできて、不機嫌そうに眉を吊り上げ一喝、そして嵐の如く団員を連れ出すんだ。ハルヒの前では宇宙人も未来人も関係ない。
「いや、お前が思ってるのとはちょっと違うが。あーうん。谷口の話だよ」
何ソレ、とつまんなそうに団長席につくハルヒをなんとなく目で追っていたら、何笑ってんのよ気味悪いわね、と一蹴された。別に笑ってないだろ。
「…」
なんか癪だから決して口には出さないが、こんなハルヒに安心する自分がいる。
二度と消えたりすんなよ。お前みたいな強烈なキャラと初対面からやり直すのは骨が折れるんだ。
→次ページへ続く
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